「緊張して身体がうまく動かなかった」とか「緊張しなければもっと上手にプレーできたのに」とか、そんなことを思った経験ありませんか。何を隠そう、僕自身がそんな経験ばかりしてきたのです。でも緊張が訪れるのは別に僕やあなたに限ったことではないようですよ。色々な人が "緊張" をなんとかしたいと、対策や解決方法を調べてくれています。

ある人は、"緊張は心の冷え" と教えてくれました。身体が冷えているとうまく動けないのと同じで、心が冷えていても身体はうまく動けない。だから心を温めてあげる。ではどうすれば心は温まるのか。それは、緊張しない人のそばに近寄ること。ストーブに近寄って身体を温めるように、緊張しない人の近くにいると緊張が次第に薄まっていくというのです。

ほら、楽しそうな人の近くにいると、なんだか楽しい気分になったりする。それと同じですね。悲しんでいる人のそばにいると、やっぱりこちらも悲しい気持ちになる。僕らの身体は良くも悪くも近くにいる人の影響を受けやすいものです。不思議なことに、緊張しがちなチームの中に全く緊張しない選手が1人入るだけで、チーム全体の動きが良くなったりすることがあります。だから緊張しやすい人は、緊張しない人のそばにいるようにすると、緊張が薄まって身体がうまく動いてくれる。そういう話でした。

またある人は、"緊張は静電気" と教えてくれました。電気機器などは静電気が溜まるとトラブルの原因となってしまう。だからアース線で電気を外に逃してあげる必要がある。同じように、身体も緊張が溜まってしまうとうまく動けなくなってしまう。だから緊張を身体の外に逃してあげる。ではどうすればいいか。それは、他の人の身体に触れる。または触れてもらったりする。そうすると緊張が身体の外に逃げていく、というのです。

子供の頃、サッカーの試合で途中出場のためタッチラインの外で交代を待っていたら、コーチだった担任の先生が僕の方に近寄って来てた。そして真後ろに立つと、先生は僕の両肩に両手を置いたのです。たぶん見るからに緊張していたのでしょうね。先生の手が肩に触れた瞬間、緊張で張り詰めた身体がふと軽くなったのをよく覚えています。身体に触れると、その人がアース線の役目を果たしてくれて、緊張を身体の外に逃がしてくれる。そういう話でした。

そして、ある日の勉強会でもまた "緊張" についての話が紹介されました 。

「多くの人が緊張はない方が良いと考えていますが、"緊張"それ自体は、決して運動のパフォーマンスに悪い影響を与えるものではありません。緊張は悪者ではありません。むしろ集中力を高めて私たちを助けてくれます。ではどうして緊張すると、身体が思うように動かなくなってしまうのか。それは緊張を取り除こうとするからです。身体から緊張を無くそう取り除こうとすると、身体は硬くなり自由を失ってしまう。だから緊張は無くそうとしないで、そのままにしておくのが良いのです。」

そういう話でした。もしかしたら、僕たちは緊張について少し誤解していたのかもしれません。緊張はうまくいかなかった時の原因にされがちです。でも実は緊張それ自体が悪さをするわけではない。むしろ助けてくれる。だけど緊張を取り除こうとすると悪い影響が出る。だから緊張は取り除こうとしないで、そのままにそのままに。なるほど。

『緊張とは座敷わらし』とメモる。

浴衣を着て踊るヒヨコ